教員塾

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「いのち」の教育をどう推進していくか?その2

 前回は「いのちの教育の推進」について取り上げました。今回はそれに関連して、「思いやりの心と規範意識の育成」を取り上げます。この内容も教員採用選考の面接において頻出の事項です。

 思いやりの心と規範意識の育成のためには、道徳教育・人権教育の取り組みを充実させるとともに、いじめや不登校への対応及び未然防止に向けた取り組みの推進が肝要と言われています。また、児童生徒への多様な支援を行うことができるよう、教育相談体制の一層の整備充実が必要とされています。

 「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」 (平成28年12月公布) が制定され、不登校児童生徒への支援の在り方についても、文部科学省の通知により、いわゆるフリースクールなどの民間も含めた様々な機関との連携強化等の新たな視点が示されました。いじめや不登校等を含めたさまざまな児童生徒への支援については、その児童生徒が抱える背景が複雑化・多様化していることから、学校単独での対応から福祉分野等の様々な機関との緊密な連携が一層求められています。

 思いやりの心と規範意識の育成のための具体的な取り組みは大きく4つ考えられます。まず1つ目は、道徳教育・人権教育の充実が挙げられます。道徳教育・人権教育については、学校内でのもの、家庭地域におけるものそれぞれの充実、及び学校・家庭・地域が連携した道徳教育・人権教育の推進が求められます。

 2つ目は、いじめ・不登校への対応及び未然防止に向けた取り組みの推進が挙げられます。これらへの対応は、前提として学校においての取り組みの推進が必要です。いじめはどの児童生徒にも、どの学校でも起こりうるものであるという教職員の共通認識のもと、いじめ・不登校の未然防止、早期発見及び、いじめの積極的な認知といじめの解消に向けて、教職員の研修を充実するとともに、スクールカウンセラー等の外部専門家とのチームによる組織的かつ迅速な相談や対応に取り組むことが肝要です。また、社会全体でのいじめ・不登校への対応及び未然防止に向けた取り組みの促進が必要です。一教職員としては、自治体発令の「いじめ防止対策の推進に関する条例」などの基本方針に基つ゛き、関係機関等と連携していじめ問題に組織的・総合的に対応することが求められます。近年ではインターネットの普及しているので、青少年に関係する業界や団体及び教育関係者等との連携・協力により、インターネットの安全・安心な利用の促進等、青少年にとって好ましい社会環境作りが不可欠です。

 3つ目は、生徒指導・教育相談体制の強化が求められます。まず学校における生徒指導の充実については、児童生徒の「居場所作り」「絆作りの推進」に向け、学校等における研修への外部講師の派遣等により、教員の指導力を高めることや、児童生徒への調査等により児童生徒の理解を深めることを促進することが必要です。またSNS等を活用することの利点と危険な点を児童生徒及び保護者が把握できるよう、講師や講座についての情報を提供し、学習機会を創出することも考えられます。さらに、教育相談体制の強化については、スクールカウンセラー等の外部専門家と連携した教育相談体制や別室登校生徒等への支援体制の充実を図るとともに、市町村に専門的な知識・技術を有するスクールソーシャルワーカーの配置が拡充されており、そうした専門家とも協力体制を整えることが必要です。

 4つ目は、児童生徒と向き合うための環境の充実を目指すことが求められます。義務教育段階では児童生徒の理解促進のために少人数学級編成の推進が多くの自治体でなされています。教職員各自は、この少人数学級編成の利点を活かしたきめ細かな指導により、児童生徒一人ひとりへの理解を深めるととめに、個に応じた指導の充実により、よりよい集団作りや児童生徒の学力育成を図ることが期待されています。

 以上、思いやりの心と規範意識の育成について考えられる主な取り組みについて取り上げました。この思いやりの心と規範意識の育成が、「生きる力の育成」や「学習環境整備」等よりも先に取り上げられている教育振興基本計画もあります。受験する各自治体の教育振興基本計画には目をとおしておきましょう。

 

 

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