教員塾

英語・教職教養・小論文・面接対策などをします。

「確かな学力」を育成するための主な取り組み その1

 前回は「確かな学力」を育成するための主要施策を紹介しました。今回はその具体的取り組みを述べようと思います。今回は前半です。

 主な取り組みとしては、1つ目に「主体的・協同的な学びによる確かな学力の育成の推進」が挙げられます。確かな学力を育成するための指導方法の工夫・改善の推進については、学校における目標・方針のさらなる明確化の推進が必要とされています。また、カリキュラムマネジメント等による育成を目指す資質・能力の重点化・焦点化を図った計画的な授業実施の推進も肝要です。さらに強化度ごとの学習プロセスの充実や教材などの開発が求められます。

 加えて、学校経営及び指導方法についての評価検証プロセスの充実、及び教員の指導力向上も一般的には求められるところではあります。これらは一教職員にはあまり関係のないような話にも見受けられますが、こういう意見はあるということは、知っておくとよいでしょう。

 

 

 

 

社会を生き抜く基盤となる「確かな学力」を育成する方法

 前回までで、学習指導要領で定義されている「生きる力」を構成する3要素の2つである「豊かな心」と「健やかな体」の育成方法について取り上げました。今回からは「確かなな学力」について考えようと思います。

 確かな学力を育成するための主要施策としては、主体的・協同的な学びによる確かな学力の育成と個々の能力を最大限に伸ばすための環境整備が考えられます。こうしたことを推進するために、教職員各自は、指導方法の工夫・改善が求められています。また、学校管理職や教育委員会は、学級経営及び指導方法についての評価検証プロセスの充実、及び教員の指導力の向上に取り組むことが求められています。

 次回以降は、「確かな学力」を育成するために、どのような取り組みが考えられ、実行されているかを述べようと思います。 

 

 

 

健やかな体の育成のための取り組みについて

 「生きる力」は、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」からなることは、以前にも述べました。今回は、この3つのうちの1つである「健やかな体」の育成方法について考えてみましょう。

 健やかな体の育成には主な取り組みとして、健康教育の充実・食育の推進・体力と運動能力の向上の3つが考えられます。これら3つについては、それぞれについて学校における取組と学校・家庭・地域が連携しての取り組みとが、教職員各自が念頭に置くべきところだと思います。

 

 

 

 

豊かな心を育成していく方法

 「豊かな心」と「健やかな体」も「確かな学力」と並んで、児童生徒が伸ばしていくべきとされているものです。学習指導要領では、これらをまとめて「生きる力」と呼んでいます。ここで問題となるのが、それらをどのように伸ばしていくのかということです。今回は、「豊かな心」の育成方法について述べていきます。

 SNS等のコミュニケーションツールが急速に変化し、バーチャルでの体験が増えている時代にこそ表現力や思考力、想像力等を培い、豊かな感性や人間味あふれる心、思いやりの心を育むために、読書活動や文化芸術活動を推進するとともに、様々な体験活動や奉仕活動の充実を図ることが必要です。

 まず、読書活動の推進が挙げられます。一教職員ができることに関しては、学校における図書館や地域の図書館等の積極的な利活用を促し、読書活動・学習活動を推進することが考えられます。小学校などにおいては、学校と保護者ボランティア等との読み聞かせの研修機会の充実により、学校・家庭・地域が連携した読書活動を推進することができます。

 豊かな心を育成していく方法については、他にも文化芸術活動の推進・様々な体験活動や奉仕活動の充実が考えられます。それらについては、次回取り上げることにします。

 

 

 

 

「いのち」の教育をどう推進していくか?その2

 前回は「いのちの教育の推進」について取り上げました。今回はそれに関連して、「思いやりの心と規範意識の育成」を取り上げます。この内容も教員採用選考の面接において頻出の事項です。

 思いやりの心と規範意識の育成のためには、道徳教育・人権教育の取り組みを充実させるとともに、いじめや不登校への対応及び未然防止に向けた取り組みの推進が肝要と言われています。また、児童生徒への多様な支援を行うことができるよう、教育相談体制の一層の整備充実が必要とされています。

 「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」 (平成28年12月公布) が制定され、不登校児童生徒への支援の在り方についても、文部科学省の通知により、いわゆるフリースクールなどの民間も含めた様々な機関との連携強化等の新たな視点が示されました。いじめや不登校等を含めたさまざまな児童生徒への支援については、その児童生徒が抱える背景が複雑化・多様化していることから、学校単独での対応から福祉分野等の様々な機関との緊密な連携が一層求められています。

 思いやりの心と規範意識の育成のための具体的な取り組みは大きく4つ考えられます。まず1つ目は、道徳教育・人権教育の充実が挙げられます。道徳教育・人権教育については、学校内でのもの、家庭地域におけるものそれぞれの充実、及び学校・家庭・地域が連携した道徳教育・人権教育の推進が求められます。

 2つ目は、いじめ・不登校への対応及び未然防止に向けた取り組みの推進が挙げられます。これらへの対応は、前提として学校においての取り組みの推進が必要です。いじめはどの児童生徒にも、どの学校でも起こりうるものであるという教職員の共通認識のもと、いじめ・不登校の未然防止、早期発見及び、いじめの積極的な認知といじめの解消に向けて、教職員の研修を充実するとともに、スクールカウンセラー等の外部専門家とのチームによる組織的かつ迅速な相談や対応に取り組むことが肝要です。また、社会全体でのいじめ・不登校への対応及び未然防止に向けた取り組みの促進が必要です。一教職員としては、自治体発令の「いじめ防止対策の推進に関する条例」などの基本方針に基つ゛き、関係機関等と連携していじめ問題に組織的・総合的に対応することが求められます。近年ではインターネットの普及しているので、青少年に関係する業界や団体及び教育関係者等との連携・協力により、インターネットの安全・安心な利用の促進等、青少年にとって好ましい社会環境作りが不可欠です。

 3つ目は、生徒指導・教育相談体制の強化が求められます。まず学校における生徒指導の充実については、児童生徒の「居場所作り」「絆作りの推進」に向け、学校等における研修への外部講師の派遣等により、教員の指導力を高めることや、児童生徒への調査等により児童生徒の理解を深めることを促進することが必要です。またSNS等を活用することの利点と危険な点を児童生徒及び保護者が把握できるよう、講師や講座についての情報を提供し、学習機会を創出することも考えられます。さらに、教育相談体制の強化については、スクールカウンセラー等の外部専門家と連携した教育相談体制や別室登校生徒等への支援体制の充実を図るとともに、市町村に専門的な知識・技術を有するスクールソーシャルワーカーの配置が拡充されており、そうした専門家とも協力体制を整えることが必要です。

 4つ目は、児童生徒と向き合うための環境の充実を目指すことが求められます。義務教育段階では児童生徒の理解促進のために少人数学級編成の推進が多くの自治体でなされています。教職員各自は、この少人数学級編成の利点を活かしたきめ細かな指導により、児童生徒一人ひとりへの理解を深めるととめに、個に応じた指導の充実により、よりよい集団作りや児童生徒の学力育成を図ることが期待されています。

 以上、思いやりの心と規範意識の育成について考えられる主な取り組みについて取り上げました。この思いやりの心と規範意識の育成が、「生きる力の育成」や「学習環境整備」等よりも先に取り上げられている教育振興基本計画もあります。受験する各自治体の教育振興基本計画には目をとおしておきましょう。

 

 

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「いのち」の教育をどう推進していくか?

 今回は、中高生の自死問題が言われている昨今におけるタイムリーな話題といえる、「「いのち」の教育をどう推進していくか?」ということを考えていきたいと思います。これは、昨今の教員採用選考における面接でも頻出の質問と言えます。

 この質問を受けて、まず「いのちの教育の推進」をどのように進めるかを考察してみましょう。これは具体的には、自己と他者の「いのち」の大切さを理解し、「生き方」について主体的に考え、尊重し合う児童生徒の育成に向けて、学校・家庭・地域における取組を推進することが必要と言えるでしょう。安心できる環境の中で、子ども自身が命の大切さを理解し、それぞれの価値観や生き方を尊重し、自分のよさや成長に気付く取り組みにより、自尊感情・自己肯定感を育成することが必要です。

 主な取り組みとしては2つ考えられます。1つ目は幼児期から小・中・高等学校にわたる「いのちの教育」の推進です。系統性や継続性を意識し、教育活動全体を通して「いのちの教育」を行うことが、有効な手段として挙げられます。また、道徳や総合的な学習(探究)の時間等において、異文化理解や個人の尊厳等について考えることなどにより多様性や個性を認め合う「いのちの教育」を実践し、その取り組みを「いのちの教育」実践事例集としてまとめ、実践方法とともに、考え方等についても周知・普及することが考えられます。

 2つ目は、学校・家庭・地域が連携した「いのちの教育」の実践をすることが挙げられます。家庭や地域等と連携した取り組みについて、積極的に家庭や地域等に周知・普及するなど、学校が核となり家庭や地域を巻き込んだ「いのちの教育」の推進が必要です。また、地域学校協同本部の設置推進により、各地で受け継がれてきた地域資源を活用した様々な自然体験、ボランティア活動、地域文化の継承活動など、子どもと大人が共に活動する機会を作ることも大切です。さらに、子どもが保護者や祖父母、地域住民の中で、自尊感情や他者を思いやる心を育むことや、保護者自身が子どもの大切さを実感することなどの家庭教育における「いのちの教育」について、子どもの発達段階や保護者の悩みなどに応じて学ぶことができる機会を提供することも肝要と言えるでしょう。

 このように、「いのちの教育の推進」には、時間的なつながりと地域的な広がりの双方が必要と言えます。双方が適切にリンクし機能することにより、次世代を担う人材が健やかに育つ環境が整っていくことと思われます。 

 

 

 

 

教員採用選考における自治体対策の方法:教育振興基本計画を活用する

 教員採用選考を受験された方、お疲れ様です^^ 多くの方は一次・二次と終わり、一息ついているところだと思います。今回は、自治体対策をどのように進めるか、ということを書くことにします。

 よく「自治体対策をしておくように」ということを聞くまたは目にすると思いますが、この「自治体対策」をどのように進めればよいかということについては、あまり正確に把握していない方が少なくないと思います。例えば「生まれ故郷だから」「よい自然があるから」「都会だから」というような返答をする方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 この「自治体対策」ですが、結論からいうと、「各自治体が出している教育振興基本計画に則った回答をすることがベスト」だと思います。各自治体は教育大綱を掲げており、それを具体的にどのように実行するかということを書いているものが、教育振興基本計画です。この教育振興基本計画に出てくる基本方針に則って回答するのが無難かつ面接担当側に「この受験者はこの自治体をよくわかっている」という印象を与えるものとなることが一般的であると思います。

 ここで2つ自治体を比較してみましょう。ある自治体では、「生きる力の育成と特別支援教育」が最重要としてとらえられています。一方別の自治体では「「いのち」の教育」が最重要視されています。ここで「なぜ自治体が最重要視しているものが教育基本振興計画から分かるのか?」という疑問が出ると思います。これについては、「法令では先に出てきたものがより重視される」という原則があるので、基本方針の早い段階で出てきたものがより重視されているということになります。前述した前者の自治体では「生きる力の育成と特別支援教育」が最重要視されており、後者の自治体では「「いのち」の教育」が最重要視されている、といえるのはこうした理由によります。

 各自治体の教育振興基本計画を読み込む時間がないという方は、ざっと目を通して、初めの方に出てくる内容をある程度深めるだけでも、面接に向けての対策は十分といえると思います。