教員塾

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「いのち」の教育をどう推進していくか?

 今回は、中高生の自死問題が言われている昨今におけるタイムリーな話題といえる、「「いのち」の教育をどう推進していくか?」ということを考えていきたいと思います。これは、昨今の教員採用選考における面接でも頻出の質問と言えます。

 この質問を受けて、まず「いのちの教育の推進」をどのように進めるかを考察してみましょう。これは具体的には、自己と他者の「いのち」の大切さを理解し、「生き方」について主体的に考え、尊重し合う児童生徒の育成に向けて、学校・家庭・地域における取組を推進することが必要と言えるでしょう。安心できる環境の中で、子ども自身が命の大切さを理解し、それぞれの価値観や生き方を尊重し、自分のよさや成長に気付く取り組みにより、自尊感情・自己肯定感を育成することが必要です。

 主な取り組みとしては2つ考えられます。1つ目は幼児期から小・中・高等学校にわたる「いのちの教育」の推進です。系統性や継続性を意識し、教育活動全体を通して「いのちの教育」を行うことが、有効な手段として挙げられます。また、道徳や総合的な学習(探究)の時間等において、異文化理解や個人の尊厳等について考えることなどにより多様性や個性を認め合う「いのちの教育」を実践し、その取り組みを「いのちの教育」実践事例集としてまとめ、実践方法とともに、考え方等についても周知・普及することが考えられます。

 2つ目は、学校・家庭・地域が連携した「いのちの教育」の実践をすることが挙げられます。家庭や地域等と連携した取り組みについて、積極的に家庭や地域等に周知・普及するなど、学校が核となり家庭や地域を巻き込んだ「いのちの教育」の推進が必要です。また、地域学校協同本部の設置推進により、各地で受け継がれてきた地域資源を活用した様々な自然体験、ボランティア活動、地域文化の継承活動など、子どもと大人が共に活動する機会を作ることも大切です。さらに、子どもが保護者や祖父母、地域住民の中で、自尊感情や他者を思いやる心を育むことや、保護者自身が子どもの大切さを実感することなどの家庭教育における「いのちの教育」について、子どもの発達段階や保護者の悩みなどに応じて学ぶことができる機会を提供することも肝要と言えるでしょう。

 このように、「いのちの教育の推進」には、時間的なつながりと地域的な広がりの双方が必要と言えます。双方が適切にリンクし機能することにより、次世代を担う人材が健やかに育つ環境が整っていくことと思われます。